「夏希に誘われるままに海に行っちゃいけないってことくらい、私にだってわかってる。

でもダメなのよ。

私が部屋で一人になると、私の後ろから夏希の声が聞こえるの。

『翔子は海に来てくれるよね。

私たちは、友だちだから』って……。

私、もうどうしていいかわからないよ。

私、夏希が怖いよ」




翔子は私たちにそう言うと、今にも泣き出しそうだった。




私は翔子を救いたい。




でも、私たちはどうすれば、翔子を助けられるのだろう?




翔子を苦しめているのは、夏希の悪霊。




話し合いで、説得できる相手でもない。




私が何も言えずに、翔子の顔を見つめていたとき、圭吾が翔子に話しかけた。