「香澄、どうしたの?

香澄!」




洗面所に母が現れ、大きな声でそう叫んだとき、私の目の前にいたはずの夏希は、サッと姿を消して、いなくなった。




私はさっきまで絞められていた喉元を手で押さえ、息苦しくて、床に座り込んだ。




私の呼吸は乱れ、体からは冷たい汗が吹き出てくる。




私は今さっき、夏希に殺されそうになった事実に怯え、プルプルと震える体をどうすることもできなかった。




〈 夏希はいなくなって、私は助かった……。

でも、夏希が私を襲うのって、これっきりなのかしら?

それとも私は、生きている限り、夏希に命を狙われるのかしら? 〉




「香澄、一体ここで、何があったの?」