「ごちそうさま」




私がサラダには手をつけず、トースト一枚だけで食事を終えると、母が心配そうな顔で私を見つめた。




「どうしたの、香澄。

体調でも悪いの?」




「ううん。

そういうわけじゃないの。

今日は食欲がないだけ」




「それならいいのだけど……。

体調が悪いときは、早くお母さんに言いなさい。

お薬だって、飲まなくちゃならないんだから……」




私は元気はなかったけど、母の言葉にニッコリと笑った。




〈 やっぱり私は、恵まれているんだ。

でもそれって、いけないことじゃないよね 〉




私はそう思いながら、立ち上がり、洗面所に歩いていった。