「香澄、どうしたの?

今日は起きてくるのが遅いじゃない」




「昨日は、遅くまで勉強していたの。

受験まで、あと一年もないから……」




「そうなの、香澄。

勉強も大事だけど、寝不足にも気をつけないとね」




私はいつものように、テーブルに並ぶサラダやトーストを見ても、食欲がわかなかった。




「お母さん、私って、他のクラスメイトよりも恵まれているのかしら?」




私は胸の中で、私を苦しめているその疑問を思わず口に出していた。




「香澄は朝から、おかしなこと言うのね。

香澄は、どうしてそんなことが気になるの?」




「それは……」




私はそう言うと、口ごもって、下を向いた。