「それじゃあ、仮にあなたが天使だとします。」

「仮にじゃなくて、ちゃんとした天使だけどね。」

人の人生の重大な危機を知らしめてきた張本人は、ヘラヘラと笑いながら私にツッコミを入れる。

少ししめてやりたいところだがグッと堪える。

「とりあえず、

死ぬってどういうこと?」

単刀直入に聞かれるとは思ってなかったのか、自称天使様は何かしら考えていた。


「えっと、死因までは言えないんだけど、美澄さん、友達いないでしょ?」

天使の一言がグサッと突き刺さる。

…すいません、友達くらいいます。

と目で訴えると、天使というだけあって気付いてくれた。

「あ、本物の友達!

転校先での本物の友達はいないでしょ?



もし、向こうで本物の友達を作れたら、君は死を免れることができるんだ。」

聞きたいことをほとんど話してくれた天使様。

しかしまだ聞きたいことはある。


「じゃあもし本物の友達を作れなかったら?」

「そりゃ死んじゃうよ。

話の流れからしてそうでしょう?」

ニヤリと悪魔みたいな笑みを浮かべた天使様は、小馬鹿にするように鼻で笑った。

確かに話の流れからしたらそうだろうけど、と言いたくなる。

たった半年で、簡単に本物の友達なんてできるものじゃない。

私からしたら、死を免れる方法が難しすぎたのだ。

だから他にも回避の方法があるなら知りたかったが、どうやら無いようだ。

悲しくなって、下を向く。