ふと目を覚ますと、すでに外は明るかった。
準備をして、静葉ちゃんと一緒に学校に行って、授業を受けて。
ただただ放課後を待っていた。
そして放課後、
「帰ったらすぐここに来てね!
絶対に持ってくるものはお金と携帯くらいだから!」
分かれ道で静葉ちゃんに言われ頷いて、一旦家に帰る。
そして着替えて準備をしてから、軽くお菓子を持って家を出た。
きっと、私より家が近い静葉ちゃんは待っているだろうなと思い、駆け足で集合場所へ向かった。
案の定、静葉ちゃんはすでにそこにいた。
「遅い〜。」
ムッとする静葉ちゃんだったが、すぐに笑顔になって私の腕に自分の腕を絡めると、
「じゃあ、行こー!」
と言って歩き出した。
静葉ちゃんに連れて行かれるがままついていくと、とあるゲームセンターについた。
そして、たくさんの種類のゲーム機を無視して、ガヤガヤとうるさい人混みの中を突き抜けていった。
たどり着いたのは可愛らしいプリ機の目の前。
私にはあまり縁のなかったものだった。
「静葉ちゃん、私やり方よく分からないんだけど…。」
恐る恐る静葉ちゃんに話しかけると、静葉ちゃんはニコッと笑って、
「大丈夫!私に任せて!」
と胸を張って言った。
えっへんと威張る静葉ちゃんはなんだか可愛らしく、少し頼もしかった。
私は200円を静葉ちゃんに渡して、後の操作を静葉ちゃんに任せた。
静葉ちゃんはルンルン気分で、慣れた手つきで操作を勧めていく。
写真を撮る際のポーズは静葉ちゃんに合わせた。
写真を撮り終わってから、落書きをしたりする。
私は上手く書けないから、とりあえず名前と日付を書いておいた。
静葉ちゃんには「下手」だと言われてしまったが仕方がない。
でも、静葉ちゃんは私のデコが下手だとか言いつつ、携帯にも画像を取り寄せて嬉しそうに笑っていて、なんだか照れくさかった。
私とプリクラを撮ることがそんなに嬉しいのかな。
その後、今度は近くの雑貨屋さんに入る。
静葉ちゃんらしく、ピンクで彩られた可愛らしいお店だった。
静葉ちゃんはいろんなものを見ながら、時々アクセサリーなどを私に合わせてみたりしていた。
そして、1つを手に取って私に合わせ、気に入ったのかその場に戻さず進んでいく。
そしてキーホルダーの並んでるところの前に立つと、
「ね、これお揃いで買わない?」
と聞いてきた。
小さなクマのついた、可愛いキーホルダーで、水色とピンク色があった。
一旦お財布の中を確認してからキーホルダーの値段も確認する。
「うん、いいよ。」
小遣いで買えることを確認してから、私は水色のものを、静葉ちゃんはピンク色のとのを手に取った。
会計を済まして店を出る。
「あのさ、これ、筆箱につけない?」
静葉ちゃんの言葉に頷くと、静葉ちゃんは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねた。
そしてハッとして袋の中を漁り、先ほど会計を済ましたばかりのアクセサリーを私に差し出す。
それは、十字架のイヤリングだった。
あの可愛らしいお店には似つかない、どちらかというとカッコいいデザインのイヤリングを、静葉ちゃんは私に握らせた。
「これ、私から!
いきなり遊ぼなんて誘って、それも昨日の今日だったのに来てくれたでしょ?
そのお礼!」
無邪気な笑顔を浮かべて、照れくさそうにそう言う静葉ちゃん。
「え、でもっ…。」
誕生日プレゼントでもないのにイヤリングをもらうなんて、気が引ける。
私はそのイヤリングを返そうとした。
だけど、
「お願い!もらって!」
静葉ちゃんに頼み込まれて、返すわけにもいかなくて、私は笑顔で受け取った。