帰りはゆっくり歩きながら、静葉ちゃんからいろんな話を聞いた。
梨乃ちゃんと葵ちゃんのことも自慢げに話していて、仲が良いんだなと感じた。
他にも、この近くの喫茶店やスーパー、最寄りのコンビニのオススメ商品など、何気ない話を楽しそうにしていた。
「あ、そういえば美澄ちゃんってどこに住んでるの?」
「え、あー、あっちの方。」
ずっと一方的に話していたのに、いきなり尋ねられ驚くも、家のあると思われる道の先を指差す。
「ここ真っ直ぐ行ったところかぁ。
私はここ曲がったところなんだ。」
静葉ちゃんは右側の道を指差した。
「ねぇ、明日からも一緒に登下校しない?
私、7時40分にここで待ってるね!」
そう言うと静葉ちゃんは、私の返事も聞かずに手を振って、その場を去っていった。
私はそんな静葉ちゃんの背中を見送ってから、家に向かって歩き出した。
翌日、言われた通りの時間にあの分かれ道に行った。
「あ、美澄ちゃん!」
そこにはもうすでに静葉ちゃんがいて、私を待っていた。
嬉しそうに笑う静葉ちゃんと並んで学校に向かう。
それから1週間以上経って、毎日静葉ちゃんと登下校して、学校でも静葉ちゃんや梨乃ちゃんや葵ちゃんと過ごしていた。
だいぶ距離も縮まった気がするある日の放課後。
「ねぇ、美澄ちゃん明日の放課後暇?」
「え、うん。暇だけど…。」
静葉ちゃんに尋ねられ考え答える。
引っ越しからしばらく経って、片付けもだいぶ落ち着いたため、恐らく大丈夫だろう。
私が答えると、静葉ちゃんはパッと明るい笑みを浮かべ、
「じゃあ、遊ぼ!」
と私の手を握った。
小さな子供のようにキラキラと目を輝かせる静葉ちゃんのお誘いを断れるわけなく、
また断る理由もなかったため、私は笑顔で頷いた。
「詳しい時間は明日の帰りでいっか!」
静葉ちゃんはニコニコと嬉しそうに笑いながら、「帰ろ」と言って私の手を引いた。
この1週間ちょっとで分かったこと。
静葉ちゃんは少しワガママだけど、ふわふわしてて話してて楽しくて良い子ということ。
それから、私のことを、結構気に入ってくれてるっぽいこと。
今のところ、天使様の言う“本物の友達”候補は静葉ちゃん。
それ以外は、いない、かな。
そのままたわいない会話を繰り広げ、私は家に帰った。