「そんなの…都合よすぎるんだよ」


「……は?」



今度は奴が怪訝そうに目だけを俺に向ける。



「サヤを傷付けたのは、少なからずあんただろう?助けを求めたときに突き放したのはあんただろう?

それを自分が忘れられたからって今さら…あたかも俺はサヤを知ってる、サヤだけを想ってましたなんて都合よすぎるんだよ!!」




抑えていた感情がついに爆発してしまった。



「………」


「サヤがどんな思いで絵を描いていたのか気付かなかったのか?」



どんな思いで…

描かれていた絵にはすべてサヤのメッセージが込められていたはずなのに…。

助けを求めていたのに…


ぎゅっと拳を握り締める。

勢いつけて言ったはずなのに、俺は涙が流れそうになるのをぐっと堪えた。