芽梨は、目をぎゅっと閉じて頭をおさえた。

「ん~・・・もう。礼二ったら、ひどいよ。」

芽梨は、頭を撫でながらつぶやく。

「・・・でも、芽梨がそんなふうにいってくれるなら、俺は、ちゃんとそばにいるけどな・・・。」

俺は、そっと小さくつぶやいた。

「え?何?礼二、今なんか言った?」

「別になんでもねーよ。ただの一人言だから。」

俺は、小さい頃から芽梨のことが好きだ。

でも、それは幼馴染みだからとかじゃない。

芽梨を一人の女の子として好きなんだ。

「礼二、帰ろ・・・。」

芽梨は、俺の裾を引っ張ってそう言う。

「お、おう・・・。」

俺は、ゆっくりとうなづくと本を鞄の中にしまった。