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辺りは、すっかり暗くなっていて、電気の付いてない自習室は月明りに照らされる。



「…帰るか…」



そー言うと、立ち上がりドアに向かって歩く。



きっと顔をみられたくないんだろう。




黙って後ろに付いて歩く。






教室にかばんを取りに向かう。




横に並ぶのは気が引けて、数歩離れて後ろを歩く。



「情けない姿見せて、ごめん…」




暗い廊下に、小さな声が響く。






「ううん…

静香センパイのことをこんなに想っていてくれて、嬉しかった…」





「高梨さんは、ホントに静香センパイのことが好きなんだな…」



フッと息を吐く…




「うん!

でも、今日、2番目って言われて…

あっ…」




口を抑える。



「フッ、いいよ、別に…

落ちるとこまで落ちたら、スッキリした!」




ぐっと腕を伸ばす。




そーなのかなぁ…?




これは彼なりの優しさ…




これだけ想っていた人を簡単に諦められるわけがないよね…






「でも、高梨さんが2番ってことは、オレ高梨さんにも勝てなかったのかぁ。

ショックかも…」



弱った声。