下を向きながら、くるっとこちらを向くと、私の腰に手を回し頭をくっつけてきた。




ふっと見ると、肩が小刻みに揺れていた。



そっと頭に手を置き、ゆっくり撫でる…




その肩が揺れることのなくなるまで…










どれくらい経ったのだろう…




「…オレ、知ってたんだ…」




かすれた小さな声が聞こえた。




「静香センパイに好きな人がいること…





えっ?



手が止まる。





「撫でてよ…」




甘えた声がする…




ゆっくりと撫でる。




「一緒に帰るとき、センパイ、体育館を見るんだ。

とっても愛おしそうな切ない顔で…」



知らなかった…




「オレを見るときも、別の誰かを見てるような気がしてた…

それでも、よかったんだ。センパイが笑っていてくれたら…」




私と同じだ…



「高梨さんに、告ったら?って言われたときも、他から見たらいい感じに見えてるってだけで嬉しかった」




心臓をわしづかみにされたような痛さが胸を貫く。