教室に戻ると、柳澤くんの姿はなくて…
追いかけるチャンスを逃してしまった。
センパイの気持ちを知ってしまった。
今、なんて声を掛けていいかわからなかったから…
少しホッとしている自分がイヤになる。
応援するっていったのに…
席に戻って、お弁当を広げようとすると
「知里?
大丈夫だった…?」
心配そうに、声をかけにきてくれる。
「うん!大丈夫!
ごめんね、心配かけて」
遊実をこれ以上心配させたくなくて、
私は、できるだけ元気に言った。
「そんな顔で言っても、説得力ないよ。
話せるようになったらでいいから。
それまで待ってるから」
また涙が出そうになる。
グッと堪えて、
「ありがとう…」
それだけしか言えなかった…