隣で、スクッと立ち上がる気配がした。




「知里ちゃん、わたしね、

大矢に告白する」





センパイの声が頭の上から降ってきた。




その声は、さっきまでの泣き声ではなく、揺るぎない気持ちの強さを感じた。



センパイを見上げると




目は涙で赤く腫れていた。






でも目は真剣で、真っ直ぐ私を見て…





「まず柳澤くんに、謝ってくる。

柳澤くんと大矢を重ねていたこと。

でも、大矢が好きなこと。


2人にちゃんと自分の気持ちを、伝えたい。

うまく話せないかも知れないけど…

大也の前で、緊張して何を言っちゃうかわからなくて怖いけど…

気持ちは伝えなきゃいけないんだよ!

フラれるってわかってても、自分の気持ち知ってもらいたい」





「…静香センパイ?」





なんで?



見てるだけでいいって…




気持ちの変化についていけなくて、戸惑う。




ニッコリ笑うと




「中学の時ね、責任感強すぎて話しかけにくいって思われてたの。

クラスでもちょっと浮いてるような感じがしてた…。

でも、知里ちゃんと知り合って、手を振ってくれたり、話しかけてくれたり。
そんな姿を見てたら、話しかけやすくなったって。

知里ちゃんは、わたしの恩人なの。

知里ちゃんには、ずっとわたしのこと好きでいて欲しいの。

だから、前に進まなきゃいけないってわかったの」

フワッとセンパイが私を包み込んだ。

柔らかな香りがする。

「知里ちゃん、こんなわたしだけど、これからも仲良くしてくれる?」




声にならず、何度も頷く。



涙がまたあふれてくる。