それから、何もないまま終業式を迎え、春休み。




今年の新入生代表の挨拶をする人と、打ち合わせをすることになり学校へ向かう。




あの日のことが頭から離れず、ずっと気持ちが沈んでいる。




なんであんなことを…




何も考えず口から出たのか…。







打ち合わせは、職員室。




ガラガラ…




「失礼します」




「あっ、吉雪さん、こっちよ!」




先生に声をかけられ、行くとそこには



スッとした顔。



キレ長の二重。




細いけど、筋肉がしっかりあるのがわかる。




まだ、あどけなさが残るものの、かなりのイケメン。




1年前の記憶がよみがえる。







大矢…








わたしは柳澤くんの中に、大矢を見た。



「この子が、新入生代表の柳澤 智哉くん。入学式の段取り、教えてあげてね」




先生の言葉に我に返り、




「はい!」



ニコリと微笑むと、柳澤くんが赤くなり顔を伏せる。




可愛いなぁ…





それから、柳澤くんは挨拶文を見て欲しいと、わたしのところにちょこちょこ顔を出すようになった。




可愛い笑顔に大矢の顔を重ねた。




落ち込んでいた心が癒されていくのを感じていた。