気持ちは前向きに頑張っているつもりでも、身体は、正直でごまかしがきかないということだろうか。

自分で思っているよりも、私は、ダメージを受けているみたいだ。

追い打ちをかけてくれたあの二人のことを思い出し、思わず深いため息がもれる。

あれも、夢だと思いたいけど、間違いなく逃げようがない、現実だ。

「大丈夫? 歩けるかしら?」

ため息の理由を体調不良と誤解したのか、薫さんが心配げに肩に手を添えてくれる。

「大丈夫です」

薄く笑って頷けば、ホッとしたように、あでやかな笑みが返される。

――優しくて、素敵な人。

私も、いつか、こういう女性になりたいなぁ。

って、そもそも土台が、違いすぎるか。

「ゆっくりでいいから、慌てないでね」

「はい、ありがとうございます」