可愛い。

 可愛すぎる。

 思いっきり抱きしめたい。

 ともすれば暴走しそうになるそんな男の本能を、なけなしの理性で抑えにかかる。
 
 ぎゅっと一度だけ強く抱きしめた後、頭をなでてから俺は、茉莉の背中を母親が幼子にするように、一定のリズムでトントンとたたいた。

 トントントン。トントントン。

 単調なリズムは、心地よい眠りに誘うようだ。

 俺は、どうやらそのまま熟睡してしまったらしい。

「しゃ、しゃ、社長ーーーーーっ!!!!」

 という茉莉の雄たけびで目を覚ませば、すでに五時間が経過していた。

「ああ、おはよう……」

「お、おはよう……ございます?」

 目を覚ました眠り姫は、盛大に頬を引きつらせているが。

 まあ、終業時間までには会社に戻れるし、お互いに良く眠れたということで、よしとしようか。





幕 間 社長・不動祐一郎の独り言

~せめてひと時のまどろみを~


  おしまい♪


そして、物語は、
第4章 『ファーストナイトは夢うつつ』
328ページへ、続く!