『それでは、新郎新婦の入場です』
ウェディングマーチが響き渡る中、純白のウェディングドレスを身にまとった美由紀とグレーのタキシード姿の守さんが手に手をとり、スポットライトを浴びてゆっくりと歩いてくる。
その厳かな雰囲気に、思わず胸がいっぱいになってしまう。
――ああ、なんだろう、まだ披露宴は始まったばかりなのに、もう感激しすぎて泣きそうだ。
「泣くなよ?」
隣りに座る祐一郎さんが、これ以上ないくらいのジャストタイミングで顔を寄せてささやく。
「……祐一郎さんて、本当はテレパシーとか持ってるんじゃないですか?」
「なんだ、今頃気づいたのか?」
「えっ!?」
っと、思わず少し声が大きくなって慌てて口元を抑えて、祐一郎さんの顔をまじまじと見上げる。
「なんてのは冗談」
私の耳元に顔を寄せて「顔を見てればわかるぞ。わかりやすいから」と祐一郎さんは楽しそうに微笑む。
つまり、それは祐一郎さんがいつも私を見ていてくれているっていうことで。
そのことに思い至った私は、感動の余波と恥ずかしいやら嬉しいやらで、感情のゲージが振りきれる寸前だ。
「なあ、茉莉」
いつもは『お前』とか『おい』とかがほとんどで、あまり名前を呼ばない祐一郎さんに、いきなり真剣な声音で名前を呼ばれた私は、何事かと隣に座る祐一郎さんを見上げた。