「ン……マァ! マァ!」

美咲ちゃんが、美由紀に向かって可愛い手のひらを伸ばして抱っこをせがむ。

美由紀は、当たり前のように咲子おばさんから美咲ちゃんを受け取り、その腕に抱き上げる。

白いベビードレスを着た美咲ちゃんを抱っこする真っ白いウェディングドレス姿の美由紀は、まるで慈愛に満ちた聖母マリア様のようで、ちょっと感動してしまう。

「美咲、今日はパパとママ、キレイキレイして頑張るから、ばぁばとじぃじと、一緒にいてねー」

生後八カ月の美咲ちゃんが美由紀の言葉を理解しているのかは分からないけど、話しかけられた美咲ちゃんはうれしそうにニコニコと満面の笑顔を浮かべた。

やっぱり、赤ちゃんって、可愛いな。

「子供、欲しくなったんじゃないのか?」

絶妙のタイミングで、ボソリと祐一郎さんに耳元へささやきを落とされて、頬が熱くなる。

そんな私たちの様子を見ていた咲子おばさんが、朗らかに笑う。

「あらあら、可愛い孫は何人でも大歓迎よ。子守は、ばぁばに任せてね。ね、じぃじ」

「ん……まあ、そうだな」

ニコニコ笑顔で咲子おばさんに話を振られた彰成さんは、満更そうでもない様子で小さくうなずいた。

祐一郎さんの話では頑固で堅物だというお父さんも、奥さんと孫の前ではただの優しい夫でおじいちゃんだ。

――いつか、祐一郎さんとお父さんが、分かり合える日が来るといいな。

心から、そう思う。