入ってきたのは、本日の主役、白いウェディングドレスに身を包んだ我が親友の谷田部美由紀ちゃんと、その夫で、シルバーのタキシードに身を包んだお婿さんの守さん。
「あ、茉莉、来てくれてありがとう。ついでに兄さんも」
「いらっしゃい、茉莉ちゃん。ついでにお兄さんも」
「なんで、俺はついでなんだ?」
「諦めてください、お兄さん。こういう場では、女性が主役です」
「守、なんでもいいから、その『お兄さん』呼びはやめてくれ」
「嫌ですよ。せっかく念願の男の兄弟ができたんだから、どんどん呼ばせていただきますよ、お兄さん!」
おどけたように言う守さんの言葉に、祐一郎さんは苦虫を噛んだような表情を浮かべる。
何をかくそう、スマイリー主任は、美由紀と結婚して谷田部家の婿養子になった。
谷田部の家を継ぐ気がない祐一郎さんと、谷田部家の後継が欲しかった祐一郎さんのご両親に請われての婿養子だ。
『お前ならやれる』との祐一郎さんの言葉通り、責任は重大だけど、きっと守さんなら大丈夫。
愛妻、『みぃちゃん』こと美由紀と、目に入れてもいたくないほどの溺愛ぶりの愛娘の『ちーみぃちゃん』こと美咲ちゃん、ダブルの『みぃちゃんパワー』が、彼を支えてくれるはず。