『バイトに疲れてサボったくちだなこれは』と、私は思わず苦笑いするしかない。
「まあ、あたしのことは良いから、あんたのことだよ。お父さんの会社、大変なんでしょ?」
「うん……」
心配そうに見つめる美由紀に、私は小さく頷いた。
どうせ隠していてもすぐにばれるのだから、正直に言うことにする。
「今すぐじゃないけど、家、出なきゃいけないみたいなんだ。それに大学も後期の学費が払えるか、かなり怪しい感じで……」
やっぱり、言葉にすると深刻味が増してしまう気がする。
思わず、ごにょごにょと、語尾が口の中に消えていく。
「げ……、ホントに?」
美由紀は、形のいい弓形の眉根をギュッと寄せた。
「うん」
「そっかー……難儀だね、茉莉っぺも」
――うん、我ながらそう思うよ。
って、暗くなってる場合じゃないんだっけ。
私は気持ちを切り替えると、肝心な『相談ごと』を切り出した。