美味しいコーヒーが飲めるのに、昼間はあまり流行っていないようだった。

でも、夜にはショット・バーに変身して、仕事帰りのサラリーマンやOLで賑わうらしい。

とは、ここを最初に見付けた美由紀からの受け売りだ。

「おはよ。私は講義さぼりだけど、美由紀はなんで今の時間暇してるのかな?」

からかい半分のセリフを言いつつ、私は、美由紀の向かい側に腰を落ち着ける。

美由紀は頬杖をついて『フフン』という顔をすると、「私は病欠です」と豊かな胸を反らした。

『胸はあるだけマシ』な私には、羨ましい限りのプロポーションだけれど、本人は『たかが脂肪よ』と、特に気にしているふうでもない。

「病欠って、どこか悪いの?」

まじまじと、顔色を伺いつつ尋ねると、

「うん。悪いの、気分が最悪」と、唇をほころばせる。

言っている台詞の割には、美由紀の表情は明るい。