「今から、出てこられる茉莉? ノアールでお茶しようよ。話したいこともあるしさ」

喫茶店『ノアール』は、私たちが良く行く、コーヒーが絶品のお店。

私は、壁掛けの時計にチラリと視線を走らせた。

―AM 9:30―

――高崎さんとの待ち合わせまでは、まだ時間がある。

アルバイト経験豊富な美由紀なら、なにか良い『お仕事情報』を知っているかも。

「うん、いくいく! 今から出るから10時までには行けるけど?」

「オッケー。私もそのころ向かうよ。じゃ、ノアールでね」

「うん」

こう言うとき友達の存在ほどありがたいものはないと、しみじみ思う。

一人でクサっていても始まらない。

美味しいお茶をして、気の置けない友達とワイワイおしゃべりしている方が、精神衛生上良いに決まってる。