高崎和彦。

二十七歳。

私よりも七つ年上の彼は、父の会社のメインバンクの融資担当者で、去年の暮れに婚約を交わした私の婚約者だ。

婚約と言っても、結婚は大学を卒業してから。

二十歳という私の年齢を考えれば仕方がないことだけれど、やはり父は当初、この婚約は早過ぎると反対した。

でも、高崎さんの強い要望により、半ば強引に成立した経緯があった。

もちろん、そこには、私の意志もちゃんと反映されている。

彼は、私が初めて好きになった、いわば『初恋の人』。

未来を、共有する『家族になる人』。

そして、絵本作家になりたいという私の夢を、心から『応援してくれる人』。