――ううん。

私にも、出来ることはある。

お金が無いなら、働けばいい。

『そうだよ! 私にだって、できる仕事が、あるはずだよ!』

私の中の、ポジティブ担当『白天使茉莉』が、白い羽根をはばたかせて、ガッツポーズを作る。

その傍らで、

『無理無理~。大学中退目前の、なんのスキルもない女の子を雇ってくれる奇特な会社なんか、ナイナイー。やるだけ無駄無駄!』

ネガティブ担当『黒悪魔茉莉』が、ウケケケと尖った尻尾を振り回す。

私は、そんな妄想を消し去るように、ぶるぶると頭を振った。

――私は、ダンプカー一台から、県下一の運送会社を作った篠原徳太郎の娘だ。

――よし!

仕事だ!

仕事を見つけるんだ、茉莉!

ここが、根性の見せどころよっ!

亀子さんが見守る、ダイニングキッチンで。

やる気モード全開の私は、右手で『ぐっ』と握り拳を作り、天に高々と突き上げた。