「私……、大学、続けられそうにないよ」

美大を卒業すること、イコール、絵本作家への唯一の道ではないのは、分かっている。

それでも、せっかく積み上げてきたモノがなくなってしまうような気がして、我知らず、弱気が口をついてポロリと零れ出す。

『言霊』とでもいうのだろうか、言葉にしてしまうと、いよいよそれが現実味を帯びてくるような気がするから不思議だ。

ふいに、鼻の奥に熱いものがツンとこみ上げてきて、唇を噛んだ。

――悲しいんじゃない。

悔しいんだ。

父の会社が倒産したことじゃなく、

何もできない自分のふがいなさが、悔しい。

――何も、できない?

本当に、何もできないの?

私は、自分の心に問いかける。