「ほんとに美凪はよく動くねぇ」

おばあちゃんはお母さんが
いないときに面倒を見てくれた。

母子家庭になった私の
お母さんは私を産んですぐ
仕事を始めたのだ。

朝起きたらすぐに乳を絞って
私の顔を見てニコッとしたら
すぐさま仕事場へ行く。

おばあちゃんは私につきっきりで
面倒を見てくれた。
泣いたらすぐに抱っこをしてくれた。

昼の三時になると
お母さんが帰ってくる。

ここでバトンタッチをするのだ。

おばあちゃんは夜の仕事をしていた。
いわゆる「水商売」である。
スナックのママとして夜は
綺麗なおばあちゃんになるのだ。

お母さんは毎日
帰ってくると何日も会えなかったかの
ようにすぐベタベタしてくる。
それほど私が好きなんだろう。

でも私はそんな毎日を
ひとつも寂しいと思わず、
楽しく過ごしていた。