大好きな二人が一緒になるほうがまだいいと思った。
他の誰だかよくわからない女の人のところにいっちゃうより、そっちのほうがずっといい。そんな不埒な思いで噂を書いた紙を教室に放った。これも若い失敗。いつか、恥ずかしくて埋まりたくなるような。

〝どんな恥ずかしいこともわりとできちゃう〟

若いってこわい。



「……意外とかわいいとこもある」



彼はぼそっとそう言って、保健室の戸に手をかけてガラガラと勢いよく引いた。





「あ」





中には先生が二人いた。



壁に手をつくみちるちゃんと、




みちるちゃんに壁ドンされている香月先生。




「「…………」」




二年以上、結構な時間を保健室で過ごしているなかもっとも気まずい空気が流れた。

美人が美人に迫っていて絵にはなるけれど、あんまりなシーンに出くわして誰も動けずにいる。
そして香月先生の服だけがやっぱりおかしくて、綺麗な絵を台無しにしかねない破壊力を持っていた。




「……邪魔したな……?」




久詞がこのセリフでいいのかと探り探りで言葉を放つ。




「……ほんとよ!取り込み中だから他あたってくんない……?」




みちるちゃんも冷汗ダラダラでこのセリフでいいのかと探りながら返事をした。

なんだこれ。



彼はそっと戸を閉じた。




「……これもう私、みちるちゃんに謝らなくてもいいよね……?」

「あぁ、もういい。むしろ謝ってもらおう」




私たち二人は保健室を締め出された。

この展開っていいの? メタいこと言うとこのお話って保健室のお話だったんじゃないの……?




どうしよう、と顔を見合わせると、彼は「帰るか」と苦笑いした。