みちるちゃんはまだ何か言いたそうにしていたけれど、別の話題でごまかす。
「今日の香月先生の服見ました?」
「もちろんよ。朝の職員会議でばっちりチェックしてるわ」
「みちるちゃんどう思った?」
「どうって……」
魔女のテンションがあがっていく。
みちるちゃんは頬をゆるませてにやにやしながらしゃべりだした。
「たまんないわよー! なんであの服のチョイスなんだろう!って!」
香月先生のファッションセンスの悪さは有名だ。美人なのに。美人なのにたまに輩としか思えないスカジャンを着ていたり、何かよくわからない生き物を胸にプリントしたトレーナーを着ていたりする。
最先端なのかもしれない。最先端すぎて私たちが着いていけてないだけなのかもしれない。
それをみちるちゃんは嬉しそうに語る。
「何でなんでしょうね? 振り切れすぎてて誰もつっこめないんでしょうね? いつか指摘して困らせてみたいけどもったいなくってできないなー。次の日から普通の服で来られたらショックだもん!」
「みちるちゃん歪んでるよね……」
「いたって普通のことでしょー」
まだテンションが高いみちるちゃんはさらりと言ってのけった。
「いつだって関心のあることに全力よ」
確かにそうだなと思った。