そういうことじゃない。
噂になるような2人の仲の良さを、非難したかったわけじゃない。
私はただ。
「やだもう糸島ちゃんカワイーなー♥︎」
そう言ってみちるちゃんは茶化す。
「違うのに……」
市野先生のほうを見たって目も合わせてくれない。「なんだそーだったのか!」って茶化してくることもない。
茶化してくれたほうが、ましだったかもしれない。
「職員室戻るわ」
「え」
「糸島ごめん、手伝ってほしいことあるから後で準備室来て」
「え、なにそれやらしい!」
「みちるうるさい」
そう言って、やけに静かに市野先生は保健室を後にした。
いつだって。
先生は私を保健室に置いていく。
またみちるちゃんと二人。
「あのねぇ……」
今日のみちるちゃんは呆れた顔でため息をつく。
「自分の都合で人の恋路を邪魔するのは、いかがなものかと思うわよ」
もっともすぎてなんにも言えない。
だけどごめんなさいは絶対に言わない。
みちるちゃんには悪いけど、私にも譲れないことがあった。