『彼女のあなたとの記憶は一ヶ月でなくなるようにしたわ。あんな子のことは忘れて、戻ってきなさい』
『私の命と引き替えに、あなたのあの子との記憶を消しても良いのよ?』
この国には、王族だけに使える不思議な能力があった。
でもその能力を王族相手に使うことは禁忌であり、死を意味する。
母は自分の命を捨てても、彼女と僕を離したかったんだろう。
僕はその言葉を聞いて、すぐに彼女の所へ向かった。
もしかしたら母は、彼女を殺してしまうかもしれない。
僕がそばで、守るんだ。
その後、城へ戻ることはなかった。
その時僕はまだ、16歳だった。