俺は、智行とかんなちゃんのお見舞いにきた。
しかし、いつ見ても驚くのは、かんなちゃんの家の広さだ。
今日、ここにきた実際のこと言うと家に来るのは俺も久々。
こんなに広かったかな…?と感じるくらいで。
手入れが行き届いた庭が見えるとここが酷く現実的ではない場所だと俺を錯覚させる。
考えていても何もないので、大きな門の前のインターホンを鳴らした。
すると、かんなちゃんのお母様らしき声が聞こえた。
「こんにちは、大沢唯です。浅原君と共に巫かなたさんのお見舞いに来ました」
俺が言うとかんなちゃんのお母様は明るい声で話しかけてくれた。
『あら、唯ちゃん!!ユキ君も久しぶりね。お見舞いなんて有難う。
かなたちゃんは今、起きてるからタイミング良いわ。
門を開けるわね』
言葉の直後にギギギと音を立てて門が開く。
その先に見える家までが遠い。
「有難う御座います。
今から玄関まで行きます」
『急がなくてもいいわよ。
かなたちゃんは逃げないから』
「はい。
…行くぞ、智行」
後ろにいたそいつを呼ぶ。
「あぁ」
「玄関まで勝負な。先に着いた方の勝ちな。
よーい、スタート」
「はっ、え?」
一瞬唖然とした癖に、普通に足が速い智行がムカついた。
でも、スタートダッシュの差で俺の方が速かったし、俺は息切れしてないから、俺の勝ち。
智行を気にしないで玄関の方のインターホンを押すと、かんなちゃんのお母様が優しそうな微笑みを浮かべながらドアを開けてくれる。
「あ、永久子さん。お久しぶりです」
「久々ね。数週間ぶりかしら」
「はい。多分それくらいだと思います」
かんなちゃんのお母様はやっぱり超綺麗だ。
「そうだ、かなたちゃんは自室にいるわよ。
二人とも、こっちよ」
俺らを案内してくれて、一つの部屋のまえに立つとコンコンと扉を叩く。
「かなたちゃん、お客さんよ」
それだけ言うと、扉を開けてすぐ何処かへ行ってしまった。
俺がスーッと部屋に入ると、かんなちゃんは車椅子にのってこっちを見てた。
「かんなちゃん!!」
俺がかんなちゃんの前にしゃがんで、ちょっと抱きついてみる。
すると、かんなちゃんは顔を赤くした。
「唯、先輩っ。恥ずかしいですよ」
「もー、かんなちゃんは可愛いなぁ。
それより体調は?一日でかなり安定したかな?」
俺の言葉にかんなちゃんは一瞬だけ苦しい顔をした。
でも、それを誤魔化すように「大丈夫」って言うから心配は残るばかり。
「おい、巫」
「は、は…い?!」
智行に話しかけられたかんなちゃんは怯えてるように見えた。
でも、智行はその自覚が無いよう。
「あの、昨日のことだが、俺がストレスの原因になったみたいで。ごめん
でも、お前もそんな程度で倒れるなんて、意味わかんねえよ。お前もそんなもん慣れろよ」
「おい、智行、そんなこと言うな。
かんなちゃんは悪くないからね。
自分を責めちゃだめだよ」
「わ、私がっ…悪いんだ…
私…自分ばっかりで…」
智行に言われたことを間に受けているのか、ただ悲しいのかなんて分からない表情で、かんなちゃんは目に涙を浮かべた。
「おい、智行。
お前は帰ってろ」
「ああ、そうする」
きっと、今の俺はとても怖い顔をしているんだ。
でも、かんなちゃんを守ることが俺の役割。
「かなた、俺のこと見れる?」
かんなちゃんはまだ不安そうながらもこちらを向いてくれる。俺はそんなかんなちゃんをもう一度、抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫。
かなたは悪くないからね。
俺はかなたの味方だからね。
大丈夫」
慰めている間にも、かんなちゃんは涙を流す。
「ねぇ…唯、先輩」
弱々しい声で俺を呼ぶかんなちゃん。
「どうしたの?」
「涙を流したくないのに、涙が止まらなくて、心が痛い」
そういって、彼女は自分の手を心臓のあたりに手を置く。
「ねえ、かなた。
かなたは俺のこと怖いって思う?」
かんなちゃんは大きく首を横に振る。
「先輩は優しくて、一番あったかくて好き」
「じゃあ、智行のことは?」
「昔と違って悲しくなる。あんなに怖い人じゃなったから。苦手」
「かなた。
俺のこと信じてくれ。お願いだ」
「…?うん、いいよ」
「俺はかなたを悲しませたくない。
かなたを守るから。愛してるから」
そこまで言うと、かなたは悲しそうな顔をする。
「私は…唯先輩を愛し返せないかもしれないけど、それでもですか…?」
「それでも。俺は本当なら、かなたの隣に居るべきじゃないからね」
笑いながらそう言うと、かんなちゃんから抱きついてきた。
「かなた?」
「先輩は私の王子様みたいです」
俺はかんなちゃんに顔を見ないで呟く。
「俺は王子様なんかじゃないよ。
なれても、お姫様を守るだけの騎士」
「先輩は偽物の王子様」
「うん」
「じゃあ、また明日、学校でお話したい」
「いいよ」
俺は今日一番の笑顔でかんなちゃんを見る。
かんなちゃんも笑顔になってくれた。
「俺は帰るね。お大事に。
明日ね」
かんなちゃんは小さな手を俺に振ってくれた。
しかし、いつ見ても驚くのは、かんなちゃんの家の広さだ。
今日、ここにきた実際のこと言うと家に来るのは俺も久々。
こんなに広かったかな…?と感じるくらいで。
手入れが行き届いた庭が見えるとここが酷く現実的ではない場所だと俺を錯覚させる。
考えていても何もないので、大きな門の前のインターホンを鳴らした。
すると、かんなちゃんのお母様らしき声が聞こえた。
「こんにちは、大沢唯です。浅原君と共に巫かなたさんのお見舞いに来ました」
俺が言うとかんなちゃんのお母様は明るい声で話しかけてくれた。
『あら、唯ちゃん!!ユキ君も久しぶりね。お見舞いなんて有難う。
かなたちゃんは今、起きてるからタイミング良いわ。
門を開けるわね』
言葉の直後にギギギと音を立てて門が開く。
その先に見える家までが遠い。
「有難う御座います。
今から玄関まで行きます」
『急がなくてもいいわよ。
かなたちゃんは逃げないから』
「はい。
…行くぞ、智行」
後ろにいたそいつを呼ぶ。
「あぁ」
「玄関まで勝負な。先に着いた方の勝ちな。
よーい、スタート」
「はっ、え?」
一瞬唖然とした癖に、普通に足が速い智行がムカついた。
でも、スタートダッシュの差で俺の方が速かったし、俺は息切れしてないから、俺の勝ち。
智行を気にしないで玄関の方のインターホンを押すと、かんなちゃんのお母様が優しそうな微笑みを浮かべながらドアを開けてくれる。
「あ、永久子さん。お久しぶりです」
「久々ね。数週間ぶりかしら」
「はい。多分それくらいだと思います」
かんなちゃんのお母様はやっぱり超綺麗だ。
「そうだ、かなたちゃんは自室にいるわよ。
二人とも、こっちよ」
俺らを案内してくれて、一つの部屋のまえに立つとコンコンと扉を叩く。
「かなたちゃん、お客さんよ」
それだけ言うと、扉を開けてすぐ何処かへ行ってしまった。
俺がスーッと部屋に入ると、かんなちゃんは車椅子にのってこっちを見てた。
「かんなちゃん!!」
俺がかんなちゃんの前にしゃがんで、ちょっと抱きついてみる。
すると、かんなちゃんは顔を赤くした。
「唯、先輩っ。恥ずかしいですよ」
「もー、かんなちゃんは可愛いなぁ。
それより体調は?一日でかなり安定したかな?」
俺の言葉にかんなちゃんは一瞬だけ苦しい顔をした。
でも、それを誤魔化すように「大丈夫」って言うから心配は残るばかり。
「おい、巫」
「は、は…い?!」
智行に話しかけられたかんなちゃんは怯えてるように見えた。
でも、智行はその自覚が無いよう。
「あの、昨日のことだが、俺がストレスの原因になったみたいで。ごめん
でも、お前もそんな程度で倒れるなんて、意味わかんねえよ。お前もそんなもん慣れろよ」
「おい、智行、そんなこと言うな。
かんなちゃんは悪くないからね。
自分を責めちゃだめだよ」
「わ、私がっ…悪いんだ…
私…自分ばっかりで…」
智行に言われたことを間に受けているのか、ただ悲しいのかなんて分からない表情で、かんなちゃんは目に涙を浮かべた。
「おい、智行。
お前は帰ってろ」
「ああ、そうする」
きっと、今の俺はとても怖い顔をしているんだ。
でも、かんなちゃんを守ることが俺の役割。
「かなた、俺のこと見れる?」
かんなちゃんはまだ不安そうながらもこちらを向いてくれる。俺はそんなかんなちゃんをもう一度、抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫。
かなたは悪くないからね。
俺はかなたの味方だからね。
大丈夫」
慰めている間にも、かんなちゃんは涙を流す。
「ねぇ…唯、先輩」
弱々しい声で俺を呼ぶかんなちゃん。
「どうしたの?」
「涙を流したくないのに、涙が止まらなくて、心が痛い」
そういって、彼女は自分の手を心臓のあたりに手を置く。
「ねえ、かなた。
かなたは俺のこと怖いって思う?」
かんなちゃんは大きく首を横に振る。
「先輩は優しくて、一番あったかくて好き」
「じゃあ、智行のことは?」
「昔と違って悲しくなる。あんなに怖い人じゃなったから。苦手」
「かなた。
俺のこと信じてくれ。お願いだ」
「…?うん、いいよ」
「俺はかなたを悲しませたくない。
かなたを守るから。愛してるから」
そこまで言うと、かなたは悲しそうな顔をする。
「私は…唯先輩を愛し返せないかもしれないけど、それでもですか…?」
「それでも。俺は本当なら、かなたの隣に居るべきじゃないからね」
笑いながらそう言うと、かんなちゃんから抱きついてきた。
「かなた?」
「先輩は私の王子様みたいです」
俺はかんなちゃんに顔を見ないで呟く。
「俺は王子様なんかじゃないよ。
なれても、お姫様を守るだけの騎士」
「先輩は偽物の王子様」
「うん」
「じゃあ、また明日、学校でお話したい」
「いいよ」
俺は今日一番の笑顔でかんなちゃんを見る。
かんなちゃんも笑顔になってくれた。
「俺は帰るね。お大事に。
明日ね」
かんなちゃんは小さな手を俺に振ってくれた。