いつもとは違う、顔の熱に私はパンクしそうであった。


好きでもない


そもそも、好きっていうものがわからなくて愛すことも出来ない。


友達って言っても、皆が私の事を呼んでも私はそれが誰だかも分からなくて、ちょっと口角を上げて声をかける。


告白されたこともある。

特に何も感じなくて、「どうして?」なんて聞き返すばかりだ。

でも、その日に階段で転んで骨折したり、授業中に倒れたなど、痛い思い出があまりにも多いため過去のことはなるべく話さないでいた。


色々考えている間に、家に着いた。

「かなたさん、立てる?」


車のドア開き、私の前で言葉を発した彼は、私のお父さん 巫 和弘(かんなぎ かずひろ)。

今年で四十を迎えるそうなのだが、未だに二十代を思わせるほどの容姿だ。

親なのにさん付けされるのは、私の本当の父親ではないかららしい。

しかし、もう十数年間もの間一緒に暮らしてきた家族だ。

「たて…ない」

一言で分かってくれること人は、本当に素晴らしい。
何故ここまでしてくれるのかは未だに分からなくても、いい人だ。

「じゃあ、車椅子を出すから待ってて」

それだけ言うと、家の方まで早足で歩いていく。

駐車場から家までの間にかなり広い庭がある為、長い距離を歩けるとは到底思えない。


少し経つと、お父さんが車椅子を持ってきてくれて笑顔で歩いてくる。その隣にはお母さん 永久子(とわこ)さんがいた。

お母さんも負けず劣らずとにかく綺麗で、年齢よりも若く見られる。

お母さんも私の親ではないと言い張るが、私は詳しい事を知らない。


「かなたちゃん、和弘さんに車椅子に乗せてもらいましょう」


私は一度だけ首を横に振る。

お父さんさんは私を持ち上げて車椅子に乗せてくれた。

そして三人で話しながら家に向かう。