私が次に目を覚ましたのは、カーテン越しに隣のベッドから友達の知らなくてよかった気持ち悪るく甘い声で目を覚ます。
それは少しで終わったもののそこにいたひとは、帰る気配がない。

時計はもう既に18時を過ぎていて、空は太陽が沈んでいるようで。

だからと言って、保健室が真っ暗だったかといえば、そうでもない。

私の真上は電気も付いていない為、良かったと今更ながら安堵を覚える。

ただ、目を覚ましてしまったところで此処から出るかと言えばそれは無理だ。


人がいるところから抜け出すにも、単純に転んで捻った足首は痛みが抜けておらず、帰るに帰れない状態であった。


「ぅあああああああっ…」

悩んでる間にも、頭痛が再び戻ってきてあまりの痛さに私は叫び声を上げてしまった。
ハァハァと精一杯、息を吸い込もうとしても上手くいかず過呼吸気味になる。


すると、突如カーテンがバッと開けられ私の友達の子が入ってきた

「大丈夫っ?」

聞かれたものの、大丈夫な訳もなく首を横に振ると彼女は慌てて教員を呼んでくるといって保健室から出て行った。

「お前は何処までが演技で何処からが本当なんだ?」


先程の女の子とやることやってたこの幼馴染のゆきくんをビンタしたい衝動に駆られる。


いきなり話しかけられた上、大丈夫じゃない状態で私は何も喋れず俯く。

「ほら、そういうの。気にくわねえよ」

私はなんと言われようと、どうしようもない状態であった。

この幼馴染に付き合っている暇もない。


「かなたちゃん、今先生がかなたちゃんの保護者の方を呼んでくれてる。帰る準備をしましょう」

さっきの子が戻ってきて言う。

私はその言葉に従いリュックを取ろうと布団を退かした。


しかし、リュックを床に落としてしまっていたため持ち上げれないし、自分で立ち上がることが出来ない。


彼女はそれに気付いたのか、私のリュックを取ってくれた。
でも、立ち上がれない状態で持ち上げてくれるような力の強い子じゃないからオドオドしてしまう。


ゆきくんは無言で私の首元と太腿の後ろあたりに手をかけ、そのまま私を持ち上げた。

「っ!?」

恥ずかしさに顔が火照る。
声が出せなくても、驚きは顔にあからさまに出てしまい、ゆきくんに少し睨まれた。

そして、まるで壊れ物を丁寧に扱うかのようにゆっくり歩き私のお父さんの車の所まで運んでくれた。


「ぅ…ぁ、ありがとう」


無理やり出した声でお礼を言うと、友達は「全然大丈夫だよ」と素敵な笑顔でいった。一方ゆきくんは「あぁ…」とだけいった。


そして私は家に戻る。


何だか熱の引かない顔に冷たい両手をくっつける。


自分の思ったことがよくわからなくて感情がぐるぐるしていて、冷たさでようやく少し落ち着いた気がした。