玲音君ん家に着くと、もう引っ越しのトラックが来ていて、丁度荷物を玲音君のママとパパで積んでいる所だった。
私とママとパパは二人に一礼をして、玲音君ん家の中に入った。

いつも行ってて、慣れているはずなのに今日は、何だか違う気分。
まるで、知らない人の家に来た気分だった。

茶の間に行き、玲音君ママとパパが私達に飲み物とお菓子を出してくれた。

「姫音ちゃん、玲音は二階にいるから行っておいで？」

と玲音君ママに言われたので、私は緊張感が走った。
「はい。」

私はいつも、階段を勢いよく駆け上がるのに、今日はゆっくり一段、一段噛み締めるように上った。

玲音君の姿が視界に入ると心臓が飛び跳ねた。
玲音君は背を向け、空を見上げていた。
私は声が掛けづらかった。
だけど、玲音君は気付く気配がなかったので、勇気を振り絞って声を掛ける事にした。

玲音君の背中が寂しげに今にも泣き出しそうだった。