学校に着くと、教室に向かい走った。

今日の早く来た理由…

それは…

玲音は今日、日直の当番で朝早くに来るからだ。
もちろん人は玲音以外、いないはず…


ガラッ!!

私は勢いよくドアを開けた。走ってきたせいか呼吸が乱れる。


私が来た瞬間、玲音が振り向いた。

「姫音…おはよう。今日は早いね。」

笑顔で普段と変わらず、優しい表情の玲音…

私は優しい笑顔を見ると、なぜか罪悪感を感じる。

「おッおはよ…今日は玲音、日直だよね?ちょっと玲音に話があって早く来た…仕事終わった?」


玲音は急に不安げで寂しそうな表情になるが、また笑顔が戻ったけど、

頑張って笑おうとしているんだよね?


「そっか…仕事はこれで終わりだから待ってて?」

「うん…」

私は自分の席に腰を下ろし、玲音の仕事が終わるまで静かに待っていた。


教室は玲音が、黒板を綺麗に黒板消しで消している音だけ…


玲音は消し終わり、手についたチョークの粉を洗うと私の隣に腰を下ろした。

私は視線を下に反らしているが、玲音は真っ直ぐ私を見ているような気がする。

「おッお疲れ様…」

「おぅ!んで、話って何?」

玲音は不安そうに私の顔を覗き込む。


「あッうん…私ね、決めたのッ!!前とは正反対の事を…」

私は慌てて口を開き、玲音と視線を合わせる。

「正反対の事を決めたって別れる事?」

暗い表情になった玲音は、視線を下に反らした。


やっぱ、玲音は別れる事しか考えてなかったんだね…
私は急に後悔の気持ちと、罪悪感を覚えた。


「…がうッ!!違うッ!!そんな事私言った?…わがままな話だけど、玲音とまた戻りたいと思ってるんだよ?」


涙腺がいつもにも増して、勝手に緩む。


「それ、本当に本心?」

やっぱり玲音は私を疑ってるんだね…

「本心だよ?ごめんね…玲音はまだ、私を疑ってるんだよね?」


「俺はいつでも姫音を信じてた…だけど、俺は姫音が、俺の事を信じてないと思ってた…ごめんな?こんな奴で…」

玲音は目線を完全に下に反らし、両手に握り拳を作って肩を震わせていた。


もしかして、泣いてる??