「藍先輩!」
「あ、うん」
思いっきり笑顔で先輩を呼んだのに、返される声の素っ気なさに私は恥ずかしくなった。
それでも、藍先輩に会えたのが嬉しい。
周りには誰もいない。
私たち二人だけ。
そんなシチュエーションにもドキドキした。
「ごめん別れて」
「え」
え。
…え。
ドキドキと高鳴る心臓が、下へ下降していく気がした。
あげてあげて、あがって、奥底まで突き落とされた。
バカな私は何も予想していなかった。
そのぶん、藍先輩の言葉は深く私の全身に鈍い衝撃を与えた。
「それだけ、じゃ」
「ぁ…ちょ、ま…待ってくださいよ…」
そんなことのために呼び出されたんだ。
会いたいって意味は、本当にそれを言うためだけで、私への感情ではなかったんだ。
そう考えたら、悲しくて、悔しくて、到底このまま帰れるわけもない。
「私…何か、藍先輩にしましたか…?」
「別に」
「じゃあ、じゃあなんで、そんなこと言うんですか」
「悲しませる人が居るから」
どういうことですか。
それは。