「私といたら、藍くん人間のクズになるのよ。」

「それは、いつもなにもしないで寝てるからか?」

「そうじゃなくて、彼女が居るのに、私と住んでること」



藍くんは即答した。



「どうせクズだよ。もとから。

桐ちゃんが、辛かったんだよな。もうすぐ、別れるつもりだったけど。

今すぐ別れてくるから」



そう言うと、藍くんは私から離れて携帯だけ持ち玄関に向かった。

私は、やっとのことで、声を出した。



「なに、それ。結局、なんなの、分からないんだけど。藍くんはいつもそうよね。

藍くんのこと、私何もわからない」



どうしてそんな簡単に付き合ったり、別れたり、今まで頑なに付き合わなかったのは、何なの。

何もかも、いきなりすぎるのよ。

藍くんは1度振り向くと、久しぶりに笑った。


それは、昔の藍くんの笑顔ではなく、今の藍くんの笑顔。

何かを隠すように、いたずらな目をしてるのに、
どこか寂しそうな、そんな笑みだった。



「桐ちゃんには、絶対、教えてやんない」




何を、だよ。




まるで、本当に、何かを隠してるみたいだ。


私はまた、何も知らされないまま置いてかれた。