そんなこんなで、私は藍くんに年下の女の子と付き合う報告をされてから、
どんな子なのか、なんとなく確かめたくて藍くんをこそこそと付いて回った。
これはストーカー行為になるわけだけど、ストーカーというのは、ストーカーされた本人が嫌な気分になったりストーカーされているということに気づかなければ、
きっと許される!はず。
というか、気づかれないでこっちから何もしないんだからいいわよね。
ただ、その子がどんな子なのか、みたい。
藍くんがどんな気持ちで、今まで頑なに付き合わないという殻を破ったのか、興味がないでもない。
学校内で藍くんについて回るけれど、藍くんはほとんど保健室やお手洗いにしか行ってなかった。
教室ではクラスの男子と話したり女子と話したり色々だ。
そういえば、あの女子からのリンチに合ってから、藍くんは学校ではあまり関わってこなくなった。
もしや、嘘だったってオチ?
藍くんなら、ありえそうだけど。
だったらほんとにたち悪いな。私にこんなことまでさせて。
でも、だとしても、随分詳しく彼女の設定を示してくれた。
年下とか、あっちから告白してそれにいいよって返したとか。
それくらい簡単に捏造できる気もするけれど。
放課後になると、藍くんは帰る準備をし始めそれが終わったら、藍くんは席を離れた。
藍くんの周りで駄弁ってた男子や女子が藍くんに「まーた早く帰るよこいつー」「なんかあんのかよ」「もっと話そうよ」なんて声をかけるけど、
藍くんは適当に笑いながら何も答えずに教室を出た。
私は大体その日の授業が終わった辺りから夕飯の買い出しのことで頭がいっぱいになるので、帰り道に藍くんがどこで寄り道してるのか知らない。
まあ、そこら辺で適当に時間潰してるんだろうけど。
家帰っても何もないものね。
藍くん寝てるだけだし。
私も帰りは色々と忙しいし。
よく図書館で課題をして帰ったりもする。
それでも6時前には帰るように心がけてる。
だから、藍くんは私が学校終わったらすぐ家に帰ってると思ってるんだろう。
彼が私より先に家に居ることは滅多にない。
そして、私はこれから藍くんの彼女を見るべくこうしてストーカーしてるけれど、
いい時間で切り上げて買い物に行かなくてはならない。
なので、藍くんの嘘だとしたら、ここの時間は無駄になる。
けど、時間は無駄じゃなかったらしい。
玄関を出ると、一人の女の子が藍くんに駆け寄ってきた。
藍くんはそちらに1度も目を向けると予定されてたように二人で歩き始めた。
告白ではないみたい。
たぶん、この子が藍くんの彼女だ。