その日の放課後まで、ドキドキしすぎてまともに授業を聞くことが出来なかった。

世の女の子は、みんなこんなにドキドキして告白してるんだ…

私、こんなんで大丈夫なのかな。



何回でも告白するって言ったけれど、私そんなことできるのかな。


ううん、やるしかない。

百合とそう決めたんだから。



そうでもしないと、私は先輩に覚えてももらえない…



そうして、放課後になった。



授業が終わるとすぐに私は、鞄を持って手紙に書いた理科棟へ移動した。

体育館はありきたりだから、そうしたけど、

来てくれるかな…



暗い理科棟で一人、自分の鼓動だけがうるさくて、一人が急に寂しくなった。


来るかな。

読んだかな。



なんだかこのまま逃げ出したい。


私、ここまで来て弱気になるなんて…





「ねえ」



「は、はい!!」




心臓が跳ねあがった。



体がガチガチに凍ったように変な動きをしてしまいそう。




藍先輩だ、藍先輩、藍先輩だ。




「この手紙、」


「はいっ、わ、私が、」


「なに」


「あ、あ、あの、」




早くいわなきゃ、早く、早く…




「わ、私のこと、覚えてますか?」


「え……」


「か、カレーパンを、」


「ああ、なんかくれた人」


「そうです、」


「で?」


「えと、あの、あ、藍先輩がす、す、……す、好きです」


「…………で?」


「つ、付き合って、もらえませんか…」


「ごめん付き合わない」


ああああああ…

へ、へこむな私…!!!!




「で、では!また!」


「え、」



私は、逃げた。


1度も振り返らないで理科棟の階段をかけ上がって、廊下を走って、校門を出た。


ふ、ふ、ふられた。

わかってたけど、やっぱり、つらい。



「………おじけるなよ~…」



私は自分の頬を叩いて帰路についた。