藍くん私に触れないで‼

すると、桐先輩から声を出した。





「藍くんは、あなたの思ってるような人じゃないわよ」

「…へ？」

「どういうことですか？」



百合ちゃんが問い埋めるように聞くと、先輩はやっぱり顔色一つ変えないで話した。




「藍くんは、とても性格が悪いから、あなたみたいな人には手に負えないと思う」

「そ、そんな…」

「好きな人のことそんな風に言うなんて、どういうことですか？」

「どういうことって、そういうことよ」

「ほんとはフラれたからそんな風に言って、藍先輩を貶めてるんですか？」

「…………あのね、私は、あなたに聞かれたことに答えただけです。
私が藍くんを貶めたなら、貶めるように仕向けたのは、あなたです」



それから百合ちゃんはうつ向いて黙りこんでしまった。

どうしよう、この拭えない悪い空気…

どうにかしないと…




「わ、私！振り向いてもらえるように頑張ります！！たくさん質問答えてくれてありがとうございます！！！」



そういって一礼してから百合ちゃんの手を引いてその場から逃げた。


一礼したとき、ほんの少し、桐先輩が笑っているような気がした。

まるで、そんなことは出来ないって言うような、余裕な目で。



…やっぱり、あの先輩なんか怖かったよ～…



「もう！むかつく！！なにあの人！変！てか、絶対藍先輩の彼女ではないのはわかった！」

「そ、それは桐先輩が自分で言ってたから…」

「絶対、菫が藍先輩と付き合ってよ！！そしたら、あの人に見返せるんだから！！」

「そんな…見返すなんて…、けど、頑張るよ」

「そうそう！彼女いないのはわかったもんね！」



百合ちゃんが笑ったので、私も笑った。

彼女が居ないって知れただけでも私としてはよかった。

あんな綺麗な人でも付き合えないということも分かっちゃって、ちょっと不安だけど、

振り向いて貰えるように、がんばろう…