「な、なに?」
「なにじゃないって!!藍先輩つったら、超有名じゃん!!てゆうか、その先輩目当てでこの学校入った子だって多いくらいよ!?」
「どんな風に有名なの?」
「もうっ、あのね、藍先輩、見て何にも思わなかったの?」
「えっ、えっと、えっとね、かっこよかったよ!」
「どれぐらい?」
「すっごくすっごくかっこよかったよ!」
「でしょ!!?そういうこと!!」
な、なるほど。
確かに、あれだけ容姿が整っていて雰囲気のある人だもん。有名って言われても不思議じゃないかも…
事実私もみとれてしまった一人だし…
「いいな~私まだ生で見たことないんだ!一緒についてけばよかったよ~」
「そ、そんなかなぁ…かっこよかったけど、なんか、ちょっとやな感じだったよ?」
「やな、って?」
「一年女子が昼にパン買いにくんな~って!いいじゃんね!一年でも女子でもパン食べたいもん!!」
そう言ってカレーパンにかじりついた。
うん、おいしい。
私いったこと、間違ってないよね?
なのに、百合ちゃんがちょっとため息をついた。
「ねえ、購買、混んでたでしょ」
「え?うん、すっごく」
「男、いっぱいだったでしょ?」
「うん!なんでわかるの?」
「もう、ほんと天然だね!白木先輩は一年女子が軽々しくパン買うなって先輩風吹かせたんじゃなくて、
一年生の女の子が一人で男の多い昼時に買いに来るのは危ないからその前に買いに来いってことでしょ!!」
「へっ」
え、そ、そうだったの…かな。
てことは、先輩は、私のこと、心配してくれたの…かな。
ほんとは、優しい人…なのかな。