せっかくイメチェンしたんだから、可愛いって一言ぐらい言ってくれればいいのに。
ほめられるようなことじゃないけど。
少しでも心配してくれたのかな。
藍くんが?それはないかな。
夕飯を作り、それを食べる頃にはいつも通りの藍くんに戻っていた。
普通の藍くんとの生活にも、そろそろなれた。
最初にあったときの印象は最悪だったけれど、今はそれほどではない。
本当に、ただの同居人になった。
だから仕方ないけど、もう付き合ってるだなんて言えない状況だ。
「桐ちゃん」
「なに?」
夕飯を食べ終わった藍くんが唐突に切り出したので少し驚きながら返事した。
「月島の家に居ただろ」
「え、」
「居たよな」
「はい」
どうして知ってるの?
て、そういや隣の部屋だものそりゃ色々聞こえるわよね。
そんなこと気づきもせずに色々話してたな。
「あ、けど、月島さんのお姉さんに髪切ってもらっただけで、特にほかにはなにもしてない」
「…あそ、別に、いいけど」
「なにが?」
「別に、」
ほんと、
おかしい。
なにがいいのよ。
何も良くないし気にしてるのかなんなのか、もう、わけわからない。
「月島さん、女嫌いだけど私大丈夫みたいだから、また行くね」
どう切り返すの?
ねえ、
藍くん。
「なんで?」
「え?」
「なんでいく必要があんの?」
「別に、またいく必要が出来たら行くよ」
「だめ」
「うん、…はい?」
いま、だめっていった?だめって、なんで、どうして?
「なんで?」
「なんでも」
どうしていつも理由を適当に誤魔化すのよ。
藍くんは、いつも何考えてんのか全然わからない。
どうしよう、今、どうしようもなく、
イライラする。
「藍くんは何のつもりなの?私、藍くんを強制させるつもりはないけど、ちゃんと昔のこと反省してもらいたいと思ってるんだけど、
なんで逆に私が指図されてるの?」
「……」
「今の藍くんはわけがわからない。何がしたいのか、全然、」
「……そんなの、こっちだって、分かんねーよ、なんでいまだにこうやって飯作ってんのかも掃除してんのかも、俺のこと嫌いなくせに」
「だから、それは、別に今はそれほどではない嫌いじゃないし、掃除も料理も好きだから」
「そんなの、自分の家ですればいいだろ、わざわざここに居座って、俺に命令するでなく、毎日掃除してご飯作って、どういう気持ちでやってんのかわかんねーっていってんだよ」
「そんなこと、」
「万が一にでも俺のこと好きになったのかと一瞬思ったけど、女嫌いの月島の家一人で行こうとするとか、わからないし、
お前なんなの、俺にどうしてほしいの」