はあ、


はあーーーーーーー~…


「落ち着いたの?」

頭ぽんぽんを即座に振り払う。

「触らないでください」

「うん、落ち着いたね。ものすごい早さで」

「もう…帰っていいですよ」

「その髪は?」

「関係ないことです。帰って」

「…くそガキ…。まあ、いいわ。寛大な俺からの提案だけどさ、ものすごーーーーく、タイムリーでうちの姉ちゃんが今家来ててさ、あ、このカレーも姉ちゃんが作ったんだけど、

で、姉ちゃん美容師だからそれくらいの髪短時間で綺麗にしてくれると思うけど」

「……」

「肯定と取っていいのか?早くしないと白木帰って来ちゃうでしょ。
ほら、はやくはやく」



月島さんにそう促され、私はぐずついたまま重い腰をあげて、月島さんの住む隣の部屋にあがった。



「姉ちゃーん、ちょっと来て」


月島さんが声を上げて呼び掛けると女性の声が返ってきた。


「は?あんたが来なさいよ」

「白木の…」

「来てるの!!?」


ドタドタとうるさい足音がしたと思ったら、女性がパーマでまいた髪を揺らして、廊下を滑り込んできた。


ノースリーブに、黒のスキニーをはいていて、大人っぽく見える。背は高めで、マスカラでばっちり目は大きい。

そんなに似てないけど。この兄弟。


「どこどこ!!!?」

「うるっさいよ、くそビッチ、こいつ白木のとこに住んでる子」

「ビッチじゃないわよ。くそガキ、ゴキ◯リと一緒に埋めてあげようか?あら、綺麗な子ね。とても個性的な髪型で…」


口が悪いのは似てるのね。



「ばか、ひっでー髪型だろどう見ても。これ、今すぐ直してやって」

「別にそれくらい構わないけど、いいの?桐ちゃん?」

「はい…あの、お金は、」

「そんなのいいのよ!藍くん関係者には手厚くもてなさないと、」

「俺も関係者、」

「え?ゴミが喋った?あたしゴミ語わかんなぁーい、ごみごみ?」

「お前シバくぞこら。」

「ほら、桐ちゃん、こっち来て?ゴミは入んないでよ?」


どうして兄弟でディスりあってるのかしら。

月島さんのお姉さんに付いていくと、私は椅子に座らされ、大きな袋の底を切ったものを被らされた。