バカみたい。









藍くんは変わってない。

いつどこにいても、藍くんはずっと藍くんのままだ。


私、藍くんのこと大好きだったのに、
すごくひどいことたくさん言って、たくさんしたな。

いや、わかってたのよ。なんとなくひどいことしてるとは。

だけど、やっぱり、

私は今の彼をきちんと受け止めるべきだったんだわ。
それを好きになる気はなくても、彼を昔好きだったと、ちゃんと自覚しないといけなかった。


それに、


そろそろ、むなしかった。



ときおり思い出す。
嘘だらけの現状が。

現実に傷ついて嘘で固めたって、もっと悲しくなるだけなのに。


けど、私はこれからどうしたらいいのかな。


そのとき、ホームルーム開始のチャイムが耳に届いた。


ああ、遅刻決定だ。
目立たないためにはホームルームが終わってから入るしかない。

藍くんには、家に帰ったらちゃんと謝って、それから、もう昔みたいにしなくていいよって言ってあげよう。

ただでさえ、好きでもない女と同居して肩身の狭い思いをしているだろう。

だけど、藍くんが戻ったとして、その場合、私は彼にどんな態度をとればいいのかしら。

というか、

私、結局、少しは嫉妬してたのよね…

女の子の告白を断るために女の子とキスする藍くんに…


ち、違うわやっぱり。
今の藍くんに戻ったら、嫉妬もしないはず。

どこかで家での彼とリンクさせてたから少し嫉妬しただけで、
家でも学校と同じ藍くんならそんなことはないはずよ、うん。


これは、嫉妬じゃない。



そうにきまってる。



だって私は、

今の裏切り者の藍くんのことを好きではないから。