バイクを飛ばすこと数分、学校に到着した。
感想、とても、とても、

ひどく乗り心地が悪かったです。



「すんごい顔してるよ」

「ほっといてください。とりあえずありがとうございます。女嫌い克服の件については、こちら私の連絡先なので、何か手伝えることがあったら連絡してください」

「恐ろしく固くなったよね。まあいいや、どうも。連絡させてもらう」

「では」


自分の連絡先を書いた紙を手渡してから、私は校門に入ろうとした。


「あ、ストップ」

「なんですかこんどは」

「なんでもやもやしてるか教えてあげる」


そういうと、バイクから降りて側まで歩いてきた月島さんは私のおでこをピコんと弾いた。

いきなりすぎて反応すら出来ずに固まった私の頭に月島さんの手がのびる。



「君は白木のこと家にいるときとバラバラの人格で捉えてるって思ってたけど、
案外そうじゃないんじゃない」

月島さんの手には私が被っていたヘルメットがあった。
返すの忘れてた。

…それより、


「ど、どういうこと?」

「学校でモテる白木にもやもやしてるんでしょ。だから、君はちゃんと家での白木も学校での白木も同一人物だってことくらいは認識してるってだけ。

線引きがすでに曖昧になってる。

だけどそんな自分を認められないから、もやもやしてる」

「な!!?ち、ちがうよ!!!」

「そう思うんなら、もう一回自分の胸に聞いてみな。

それから、白木に対する接し方も、いい加減変えな。そうすれば少しはましな女に見えるから」

「失礼!!あ、うっ、そんなんじゃ、」

「じゃねー」


ブロローンと音を出して、月島さんはあっという間に学校を引き返してしまった。
私、とっさにいい言い訳何にも思い付かなかったな。

こんなの、まるでその通りって言ってるようなものじゃない。

何となく、何となくは、そんな感じはしていた。

きっと最初から、そうだったのかも。


線引き線引きって、そればかり考えていた。
違和感なんて出てきて当然。

だって、藍くんはたったひとり。


昔も、今も、



彼、ただひとりだったのに。