いや、あっはー…みたいな私とは思えぬ返し方をしたあと、今までの自分の愚行を思い返して自己嫌悪に陥りひとり頭を抱えた。
「…ご、ごめんなさい…まさか…T大の医大生様でいらっしゃるだなんて……一筋も思わず……」
「いやいや、いいから今さら。変に態度変えられたらそっちのが気持ち悪いし。
それより、さっきの、どう」
さっきのって…
ああ、女嫌いを克服するために協力してほしいとかなんとかの…
色んな衝撃があって頭から飛んでいた。
「なんで私なんですか?別に、私じゃなくてもいいじゃないですか?」
「いや、君じゃなきゃダメだよ」
「え…、そ、それは、どうして」
「だってビッチ系のイケメン好きできゃあきゃあしてる女で喋れるやつなんて君以外に居るわけないし」
「それすごく失礼ですけど、ビッチじゃないし」
「と、いうことなので、頼みたい」
頼みたいって、言われても…
私は私で藍くんとの生活で手一杯だし、それに、この人といても、私にメリットなんてひとつもないし…
受け入れる必要なんて、まったくない。
「すみませんけど、私も忙しいので、」
「手伝ってくれるって言ったら、そのもやもやとか悩みの答え教えてあげるよ。
それに、白木のことも、今度はちゃんと教えてあげる」
「そ、それは…」
やばい、傾く。
藍くんを引き合いに出すのはズルいわ。
それに、このもやもやの答えをこんな人…T大の医学生さんなら…分かるのかしら。
わかれば、少しは、これからどうしていけばいいかの参考にもなるかもしれない。
それに、藍くんのこと、教えてくれる…
これからの藍くんとの生活を有意義にするには必要なことなのかもしれない。
……仕方ない……か…
「わかりました…そこまで…言うなら。そんなに手伝えませんけど、出来ることなら、」
「ありがと。うん、そんな無理なことさせないし、大丈夫大丈夫」