そこで二人して黙りこんでしまった。
藍くんの気持ちを考えたとき、何をどう言えばいいのか分からなくなる。
どんな言葉を言っても無意味な気がしてきて、途端に沈みこんだ。
時間ばかりがなくなっていくこの間に、藍くんの意思を変えることは、藍くんの意思に割り込めない私たちには無理なんじゃないかと思った。
「そんなところだけど。どうする、これから」
「……分かりません」
「……そうだな」
私は身内をなくしたことがない。だから、その気持ちを理解してあげることもできない。
ましてや自分のせいで誰かが死んだなんて、私にはきっと想像もつかないような心情なんだろう。
「なにも、出来ないんですかね」
「わからないけど、このままじゃダメだな」
そう…だよな。
私はスパゲティなんか食べるの忘れて頭を抱えた。
「悩んでも仕方ないよ。決めるのはあいつだし。それをどうこうしたいのは、俺らの方で」
「けど、死んでいいわけないです。間違ってます。おかしいです。藍くんは、生きなきゃダメです」
「そう…だね」
「私、もっと考えます。なんにも考え浮かばなくても、この世に藍くんがいる限りは、頑張ります」
私はそのまま立ち上がって月島さんの家を出た。
藍くんの部屋に戻ってスパゲティを暖め直して食べた。
あまり味が分からなかった。
もっと、なにか、出来ると思ってたんだけどな。
こんなに自分が無力だとは思わなかった。