次の日も、かわらずに学校に行った。
藍くんが学校に来なくなって一週間以上なる。
さすがに、噂が広まってきている。
その噂も、根も葉もないようなものばかりだけど。
『白木、他校と喧嘩して停学になったらしいぜ』
『え?俺転校したって聞いたけど』
『違う違う、学費出せなくて退学だって』
『けどさ、正直俺あいつあんま好きじゃなかったからいいや』
藍くんとつるんでた人達は、集まってそんな話をしていた。
今まで藍くんの周りに集まって、バカみたいな話して笑っていたのに、ひどい。
結局、その程度だったんだ。
藍くんがこの人達のことを本当に友達と思っていたのかは分からないけれど、それでもこの人達は腹が立つ。
まだ、藍くんのとりまきの子達の方が自分の気持ちに正直でいい。
「矢野さん?ちょっと向こうで話さない?」
…まあ、好きになれるわけないけど。
この髪をズタズタにしてくれた人を好きになる理由なんてないけど。
「藍くんのことはなにも知らないですよ」
「……あっそ」
舌打ちして去っていった。
嫌な空気だ。
こんなところに一秒でも居たくはないな。
昼休みだし、保健室にでも行って時間潰そうかな。
私は席を立って、教室を出た。
あんなクラス、嫌いだ。
藍くんが学校に来てないだけで、あんな風に話して。
醜いなぁ。
私、学校に来る意味あんのかな。
居心地悪い。
藍くんもいない。
今まで、こんな気分になったことなかったのに。
なんだか、一人ぼっちな気がしてきた。
なんだって、今こんな気持ちになるんだろ。
一年生のときは、ずっと一人だったようなもんじゃない。
なのに、どうして…。
けど、一年生のときは、意味があったもの。
いつか藍くんと再会したときに恥ずかしい自分じゃないようにって、毎日つまらない学校に行って一生懸命勉強して、
再会してからは、クラスに藍くんが居たから、一人だなんて思わなくて、
でも、今は、
一人だ。
藍くんには、会えなくて、
私には、何もできなくて…
学校で、私の気持ちをわかってくれる人なんて、誰も居ないのに。
学校に来る意味なんて、あるの。