「……俺も、そう思ったけど、さすがに、聞くタイミングがなくて未だに聞けてなかったよ」


「あの、月島さんから、藍くんに…聞いてもらえますか…。藍くんは…私に会いたくないらしいんで」


「………んー、まあ、だよね。分かった。」


「あ、あと、お金の話はしないでくださいね」


「なんで?」


「藍くんに、無駄な心配とか、させたくないので、今のところは秘密で、」


「そっか。確かに。そうする」


「はい……」


「明日にでも行くから。また明日話す」


「…ありがとうございます」


深々と頭を下げた。

何もできなくて申し訳ない気分だ。
全部任せることになってしまって…。


私は、顔を上げると盛大にため息をついてしまった。




「あのさ、少しは、覚悟しときなよ」


「え?」


「もし、白木の気持ちが変わったとして、金の問題も大丈夫として、運良くドナーが見つからない場合もある、

ドナーが見つかったとして、手術が成功するかどうか分からないし、その心臓が白木に適応してくれるかも分からない。

全て上手く運んでも

あいつが死ぬときの、覚悟」



急に心臓が鈍く響いた。

私は、藍くんに絶対生きてほしいと願っている。
だけど、それは、どんなに願ったところで結果は誰にもわからない。


そういうところに藍くんが居るのだと改めて理解した。



「………はい」


「じゃ、明日」




私は、まだ、


覚悟なんて決められてない。