「理由は俺の浮気。っていうことになってるだろうね」

「どういうことですか?」

「夏休み入る前くらいに美桜の誕生日プレゼントを買おうと思ってね。ほら、美桜8月誕生日じゃん?」

「はい…」

「俺は小鳥遊さんたちより三つ上の年の妹がいてね。妹に一緒に美桜の誕生日プレゼント選んでもらってたんだ」

「妹さんと…」

「そう。妹と。その時の光景を美桜が見てたらしくてね。しかも妹童顔だから美桜と同じ年くらいに見えたんじゃないかな?
それで"高校生なら誰でもいいの?"って言われたんだよね……」



妹さんが高校生だと思って、浮気してるって美桜は思ったんだ。


そうならば、美桜の誤解じゃん…。



「俺が妹だって言う前に美桜が泣きながら別れよって言ったの。俺の有無を言わさずさよならって」

「誤解を解こうとはしなかったんですか?」

「したよ。けれど話すことを拒まれた…」



そうだったんだ……。



「情けないよなー俺って」

「栄ちゃんは……今も美桜のこと好き?」

「……はは、どうだろう?好きなんじゃないかな」

「なら、もう一度…」

「いいんだ、もう…。美桜を困らせたくないんだよ…」

「……栄ちゃん」



栄ちゃんの目には涙がうっすらと見えた。